2/6 マツタケ•トリュフの人工栽培技術の開発(トリュフ編)

昨日に引き続き、2/6の森林総研主催の成果発表会の備忘録です。今日はトリュフ編。

5. 日本産トリュフの多様性
日本にも、Tuber属は20種ほど確認されているという発表。森林総研の木下先生。
国産トリュフの栽培は「収量が多い」「広域で見つかる」「香りが良い」3品種に絞って栽培研究を進めるとのこと。
白トリュフ系
•Tuber japonicum (ホンセイヨウショウロ)
黒トリュフ*
•Tuber himalayense (アジアクロセイヨウショウロ)
•Tuber longispinosum (イボセイヨウショウロ) 
どの種も、カシやナラ等の里山樹種と共生しているとのこと。
*吉見昭一先生によりかつてはT. indicumとされていた2種

6. 国産白トリュフホンセイヨウショウロの成分特徴

欧州産の白、黒トリュフと比べて成分がどうなっているか検証したという発表。香気分析、アミノ酸組成、水分、ミネラル、油脂含量などを分析。森林総研の下川先生の発表でした。
今の仕事と直結している部分もあって非常に興味深かったです。
香気成分で特徴的なのは3-メチル-2.4ジチアペンタンと1-オクテン-3オールが香りの中心部分を決めてるとのこと。(欧州の白トリュフら2.4.ジチアペンタンペンタン)これも子実体生育段階で少しずつ成分がかわる。
トリュフは香りが中心なので、今は香りに焦点を絞って研究しているらしい…。個人的には、食感(テクスチャー)もおいしさには効いてくる部分なので、そこも見れたら面白いのかなとか思ったり。味に関してはアミノ酸組成の子実体生育段階での違いとかも調べたら面白いかなと思いました。
急性経口毒性試験もしており、T. japonicumはとりあえず食用とのことです。安心。

7. 国産トリュフの感染苗木を育てる
国産トリュフの菌根苗を胞子懸濁液から作る研究です。森林総研の仲野先生の発表。(鳥大時代の研究室の先輩)
pH調整した苗畑で定着実験を実施中とのこと。今のところは2年は定着しているらしい。欧州では6〜10年で子実体が発生するらしいので、今後が楽しみである。


感想
マツタケはあと20年は栽培難しそうだなと思いました。トリュフはもしかしたら近い将来栽培出来るかも!(欧州ではされてるし)
ただ、菌床栽培みたいに安定して高い収量が出ないあたり、まだまだ値段は高くなりそうだなあと。
育種技術についても、最近はゲノム編集とか出てきてる。子実体形成や菌根共生に関わる遺伝子がもっとわかれば、マツタケやトリュフが菌床栽培できる時代が来るかもしれないな…。

あと、終わった後に木下先生とお話した際に、トリュフが草本にエンドファイト的な役割をもっているという話題になり大変興味深かったです。
https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.16321

総合討論でも出た、交配型因子も関わっているらしく、この辺の論文時間あるときにじっくり読みたいな…。

以上、非常に有意義な有休になりました。
やっぱりきのこの研究聞くのは楽しいなあ…。


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